いい街にはいい銭湯がある。池袋の隣町「椎名町」でチルする【妙法湯編】

いい街にはいい銭湯がある。そんな言葉を聞きつけてやってきたのが、東京都豊島区の椎名町(しいなまち)。椎名町といえば、モダン銭湯のパイオニアとして名が高い「妙法湯」がある場所。今日は、そんな妙法湯をハブに、椎名町でチルする日。妙法湯の3代目の柳澤さんのお話をもとに、椎名町の魅力をみなさんにお届けします。
Agenda.
  1. 1.椎名町のハブになる場所「妙法湯」

  2. 2.妙法湯のあとは街にくり出そう。銭湯とセットで楽しみたいサウナめし

  3. 銭湯だけなんてもったいない。下町らしさが残る椎名町の魅力

1.椎名町のハブになる場所「妙法湯」

椎名町にやってきたらまずはここへ。椎名町駅から徒歩3分の場所にある、創業80年以上の老舗銭湯『妙法湯』です。

現代版銭湯を牽引する妙法湯の存在

男湯

妙法湯「全面リニューアル」が行われたのは2019年。従来の「銭湯」というイメージをいい意味で裏切ってくれる明るくモダンで洗練された空間と、「水質」に徹底的にこだわった現代版銭湯が誕生しました。

それ以降、妙法湯を”お手本”にリニューアルする銭湯が相次いだことが「現代版銭湯のパイオニア」と称される所以です。

妙法湯3代目と4代目の柳澤親子

「新しいことをやり続ける。そうすることで、これまで銭湯に縁のなかった利用者を増やしたい」そう語ってくれたのは、妙法湯3代目店主柳澤さん。

妙法湯充実のドリンクコーナー

椎名町生まれのクラフトビールの店内販売、銭湯ではお馴染みのドリンク・クラフトコーラ『伊良コーラ』の導入、開店前の店舗をつかった貸切利用、『銭湯ファッションショー』の実施、業界初となる「デジタルサイネージ」の導入などなど……。

妙法湯は、リニュアール以降も常に新しいことを実施・発信し続けている場所。

銭湯で「SDGs」を試み、こんぶを使った「こんぶ湯」を実施したことで、環境省が主催する「グッドグッドライフアワード」を受賞した経験もあります!

妙法湯がきっかけとなり「銭湯」という場所のおもしろさが広がっていく。そう、妙法湯は、現代の銭湯を牽引する存在なんです。

清潔感たっぷり×短時間で満足できるサウナがチル

男湯
脱衣所

「いい銭湯は掃除が行き届いている」なんてよく言いますが、妙法湯はいつ来ても乱れることなく、清潔感にあふれています。

こまめな清掃や見回りはもちろんですが、リニューアルから5年経っても未だにピカピカ。なぜいつ来てもキレイなのか?そのひみつは空間設計にありました!

「浴室の床は勾配になっていて、水はけがいいように設計されています。カビが発生しやすいモザイクタイルをあえて使わなかったのもこだわりですね」

銭湯ではおなじみのペンキ絵も、カビの発生源になりやすいためあえて廃止に。そのかわり、浴室に向けて大きなテレビを設置しています。利用者への配慮を忘れない姿勢、すてきです。

男女ともに100度超えのサウナも、妙法湯の名物!

遠赤外線ストーブに水を張った「銅鍋」を設置することで、室内の湿度を確保。銅鍋のおかげでカラカラ、ジリジリとした熱を感じにくく、全身しっかり温まる心地いい空間を作り出しています。

「うちはサウナも浴室もコンパクト。いかに短時間で満足してもらえるかが重要です。ストーブの周りには岩盤浴でも使用する鉱石を敷き詰めています。遠赤外線の効果で外からだけでなく、体の内側から温めることができるんですよ」と柳澤さん。

男湯水風呂

男湯には、一部が水深100cmになっている水風呂の用意も!全身を瞬時に冷却できるユニークな設計です。

水風呂のほか、日本初となる「軟水炭酸シルキー風呂」も注目どころ。肌に潤いを与え、まるで化粧水に浸かっているようなやさしい肌触りは、「水」にこだわった妙法湯の魅力のひとつ。サウナと湯船で、ぜひチルなひとときを過ごしてください。

「妙法湯」のくわしい施設情報は、Chill+の施設ページに掲載中です。チルポイントをまとめた動画もぜひチェックしてみてください。


2.妙法湯のあとは街にくり出そう。銭湯とセットで楽しみたいサウナめし

椎名町生まれのクラフトビール(=NAMACHAんスタンド 椎名町店)を店内販売したり、椎名町に店舗を構えるアパレルショップ(=Freetopia)にグッズTシャツを依頼していたり。「椎名町」とのつながりを大切にする妙法湯。

「池袋からひと駅しか離れていないのに、下町らしさがすごく残っていて。個人でお店を頑張っている人も多いから、本当に人があったかいんだよね」

そんな風に椎名町の魅力を語る柳澤さんが、妙法湯にきた後にぜひ立ち寄って欲しい飲食店を紹介してくれました。

妙法湯あとにサクッと1杯やるなら「おぐろのまぐろ(本店)」

アツアツサウナの妙法湯のあとに、さくっと1杯やって帰りたい。そんなあなたにぴったりなのが『おぐろのまぐろ(本店)』。

高価なマグロを手軽に楽しんで欲しいと、豊洲直送のまぐろ料理をリーズナブルに楽しめるお店。妙法湯からは徒歩5分!立ち飲みスタイルで、気軽に入りやすいのも魅力です。

名物は「本まぐろ枡盛り」。口に入れた瞬間とろける本鮪のお刺身が5切れほど盛られたこちらの一品は、なんと税込299円!原価無視で提供する「おもてなし」の一品ということもあり、注文はお一人様1回まで。

升盛りと一緒に人気「マグロのレアカツ」「トロタク」、それにホッピーセットできめればもう優勝。ぜひ妙法湯あとのチルな一杯楽しんでください!


住所:東京都豊島区長崎1丁目4-17
営業時間:16:00~22:00

チルに浸りたい…2階にお店を構える隠れ家カフェ「珊瑚

サウナの後にゆっくり小腹を満たしたい。そんな方におすすめなのが、妙法湯から徒歩5分の場所にある南国カフェ『珊瑚(さんご)』。

入り口で靴を脱いで過ごせるここは、縛りを感じずにチルな時間を過ごすのにぴったり。2階にお店を構えていることもあり、外の様子が気になりにくいのもメリットです。

小500円・大800円/沖縄出身のスタッフさんが「沖縄料理食べたい」とお客さんに言われたことがきっかけで、沖縄料理を出すようになったとか

そんなSANGOでおすすめしたいのがこちらの「ざるもずく」。沖縄県うるま市勝連産の「もずく」をめんつゆにつけてズルズルッと食べる超ヘルシーな一品。

小サイズ(一人前)でもかなりのボリュームがあり、罪悪感なくお腹いっぱいになれます。サウナ後はさっぱりしたものが食べたい方、ダイエット中の方にはぴったり。ぜひ妙法湯のサウナとお風呂でお腹ぺこぺこにしてから行ってみてください!


住所:東京都豊島区長崎1-5-3 関ビル 2F
営業時間: 11:30~20:00 LO19:30/日曜定休

椎名町に来たらここにこない手はない!「やきとん やまちゃん」

この街らしさを感じられる飲み屋さんに行きたい。そんな方におすすめしたいのが『やきとん やまちゃん』。

安くておいしいやきとりが食べられるとあり、「椎名町きたらここに来ない手はないよ!」と妙法湯の店主柳澤さんも太鼓判を押すお店。妙法湯からは徒歩5分ほど。

雰囲気のあるカウンター席に座って、トロトロもつとしみしみ豆腐が絶品の「もつ煮込み」、店主さんにおすすめしてもらった「焼き鳥3種類」(かしら・てっぽう・スタミナ焼き)を注文。

筆者は、味噌だれにつけて焼いた「てっぽう」(143円)と、にんにくがよく効いた「スタミナ焼き」(176円)がパンチがあって印象的でした!一本一本の値段もリーズナブル。

カウンターに座ると目の前で焼いてくれた串をそのまま食べられるのもうれしいです。

一個100円と破格の値段で楽しめる「レバカツ」もぜひご賞味あれ!くさみがなくレバーが苦手という方でも挑戦しやすい一品です。

ビールひと瓶、もつ煮込み、焼き鳥3本、レバカツの合計でお会計はなんと1800円以下。この値段でこの満足感。確かに椎名町に来たらここに来ない手はない、そんなコスパ最強のお店でした!


住所:東京都豊島区長崎1-3-6 丸二ビル 1F
営業時間: 16:30 – 00:00/月曜定休

雰囲気よし。新鮮な刺身やご飯をがっつり食べるなら「北のほまれ」

続いて紹介するのが、妙法湯から徒歩7分の場所にある大衆酒場『北のほまれ(譽)』。

毎日仕入れる新鮮魚介が堪能できる、昭和48年創業の老舗居酒屋です。

予約不可、来店のみ受け入れる人気店ということもあり、来店時にはカウンター席にびっしりとお客さんの姿がありました!明るく迎えてくれる店主さん、壁に吊るされた雰囲気あるメニュー、テレビで流れる相撲中継……大人なチルを堪能するのにぴったりのお店です。

新鮮な魚介が売りのこちらでは、ボードを見ながら店主さんにおすすめの品を聞くのがおすすめ。この日は、肝付のかわはぎ、本マグロのお刺身を。

肝を醤油に溶かして食べるかわはぎは、ひとあじ違う「コクの深さ」みたいなものを感じました!

お刺身と合わせてぜひ注文して欲しいのが、名物の「ピンピン焼き」。すりおろしたトロロ芋の中に、エビやタコを合わせて焼いて、とろとろ卵をくずして食べる一品です。あつあつの鉄板で提供してくれるので、テーブルに届いたら時間をあけずに食べるのが必須。

老舗銭湯「妙法湯」のあとに、老舗居酒屋「北の譽」の椎名町黄金ルート。おいしいお酒とご飯でお腹いっぱい満たしたい方はぜひ!


住所:東京都豊島区長崎2-3-21
営業時間:18:00 – 02:00/水曜定休

締めはここで!椎名町のソウルフード「南天」

最後に紹介するのが、肉そば・肉うどんの『南天(なんてん)』。

名物の肉そば、肉うどんをずるずるっとすすれる、椎名駅北口目の前にあるお店です。立ち食いスタイルで店内カウンター、店外テーブル席、ベンチが確保されています。

営業時間は、なんと朝5時30分から深夜1時30分まで!いつ通っても店内には必ずお客さんの姿があり、一目で「このお店、只者でないぞ」感がぷんぷん漂っています。

肉そば500円/温玉+50円(開店〜朝10時までは無料)

注文したのは、名物の肉そば。モチモチ食感の麺、たっぷり乗ったお肉とネギ、ダシがしっかり効いたつゆを絡めて食べれば、言わずもがなの大優勝。このボリュームで一杯500円なのも驚き。

妙法湯後に一杯すすって「優勝コース」を堪能するもよし、お酒と食事を楽しんでから「締めの一杯」を南天で決めるもよし。どんな場面でも寄りそってくれる南天は、椎名町の魅力を語る上で欠かせないお店でした!


住所:東京都豊島区長崎1-2-2 アクティスビル 1F
営業時間:5:30 – 1:30/不定休


銭湯だけなんてもったいない。下町らしさが残る椎名町の魅力

長崎神社
金剛院/2017年に妙法湯が主導となって「銭湯ファッションショー」が開催されたスポット

飲食店だけでなく『長崎神社』『金剛院』など、趣ある風情を感じられるのも椎名町の魅力。

金剛院の中にある「マンガ地蔵」

ここ椎名町は、手塚治虫など昭和を代表する漫画家たちが住んだアパート『トキワ荘』があった場所としても有名です。飲食店だけでなく、街の歴史を感じるスポットにまで足を伸ばすと、椎名町の魅力をより実感できるはず!

「ただ銭湯に来て帰るだけではもったいない。この街には個人で頑張るおいしい飲食店、都会の喧騒を忘れられる神社やお寺、この土地ならではのユニークな魅力が集まっています。妙法湯・五色湯・湯~ゆランドあずまと、近隣に豊島区の銭湯の3つが集結しているのも、おもしろいところです」と柳澤さん。

妙法湯のあとはぜひ椎名町を散策して、街をまるごと堪能してください!

取材・執筆:はせがわみき