1.「マンガ喫茶みたいな銭湯」と口コミで広まった梅の湯
昭和15年創業と、歴史ある銭湯『立川湯屋敷 梅の湯』。2005年には建て替え工事を行い、現在の2階建の湯屋敷スタイルが誕生しました。
店内に入ると、まず驚くのがマンガの数。壁一面にぎっしりと並べられたマンガは、1階と2階合わせてなんと1万2千冊。
お風呂とサウナでゆったり温まったあとは、お気に入りの作品をじっくり読み漁る。そんなマンガ喫茶とスーパー銭湯が合体したような、夢のコラボ空間こそ梅の湯が人気を博す理由です。
「マンガを置き始めたのは、とあるご夫婦がきっかけです。旦那さんが奥さんが上がる時間に合わせて後から入浴しに来るのをみて。この場所がもっとゆったり過ごしやすい場所になればなと、私物のマンガを置き始めました」と語ってくれたのは梅の湯店主の佐伯さん。
マンガを置き始めると想像以上の反響があり、徐々に数を増やす形で現在の姿へ。「マンガ喫茶みたいな銭湯が立川にあるんだって!」と若いカップルが電車内で会話するのを偶然耳にした佐伯さんは、口コミによる反響の大きさを実感したそうです。
「建て替え工事を行なったばかりの2005年は、思った以上に利用者が増えず歯がゆい思いをしました。マンガを設置した後から徐々にお客さんが来てくれるようになって。今でもゆったりマンガを読んでるお客さんの姿を見ると”よかったな〜”ってうれしい気持ちになるんですよ」と佐伯さん。
2.これぞ湯屋敷!豊富なジェットに露天風呂まで!
1階と2階は週替わりで男女入れ替え制。わたしは2階浴室の日に利用しました!
あたたかい色合いが特徴の2階浴室は、手前にカラン、サウナ、水風呂。奥に4種のジェット湯と電気風呂と、縦に広いタイプ。
内湯だけでも十分すぎるほどですが、なんと露天風呂もあるんです。風情のある岩風呂に、ひとり専用の壺湯まで楽しめて「銭湯価格でこの充実っぷり……」と感動しっぱなしでした。
ブルー基調で風と海をイメージした1階の浴室も、もちろん露天風呂付き。高い壁に囲まれた空間は、ゆったり過ごすのにぴったり!
空と風を全身で感じながら、至福の時間を過ごせます。うーん、1階も2階もどっちも甲乙つけがたい。
「どちらの浴室も、どこになにがあるのか一望できない作りになっているんです。うろうろしながら”ここに露天があるのか〜”なんて発見を楽しんでもらえたら」と佐伯さん。
銭湯とは思えないほど広くて開放感のある空間と豊富な湯船に、思わずキョロキョロしてしまう梅の湯。まさに「湯屋敷」だな〜と、隠されたこだわりに脱帽でした!
3.サウナ好きにおすすめしたいロッキーサウナ
サウナ好きの方にぜひとも体験してもらいたいのが、2階浴室の「ロッキーサウナ」。
ロッキーサウナとは、サウナストーンが「山」のように積み上げられたサウナのこと。大量のサウナストーンによって室内の温度が維持され、じわり、じわりと熱が身体に伝わるのを楽しめるサウナです。
室内の温度は85〜90度前後。熱すぎない、でも決してぬるすぎない、絶妙な温度のひみつは「湿度」。水分量を絶妙に調整しているおかげで、もう何分でも入っていられる居心地抜群の空間が完成されています。もうずっと入っていられる……!
水風呂はサウナ室のすぐそば。水温は20度前後と、冷たすぎないのが個人的に大優勝でした!なめらかな地下水を使用していて、クリアな肌触りが気持ちよさをプラスしてくれます。
独立型の外気浴スペースには、全身をやさしく包み込んでくれるアディロンダックチェアがずらり。背面から程よく吹き抜ける風が本当に心地よくて、サウナゾンビ(=サウナ・水風呂・外気浴を無限ループでくり返してしまうこと)になりかけたのはここだけの話。
1階浴室では、コンフォートサウナが体験できます。湿度たっぷりなロッキーサウナと比べて、高温でカラッとしているのが特徴。ただ温度だけでなく、しっかり湿度も調整しているそうです。次回は1階サウナにも入ってみたい!
読みきれないマンガの数々に、じーっと眺めるだけでも楽しいフィギュア。豊富な湯船と開放感たっぷりの露天風呂。サウナ好きに思わずおすすめしたくなる、心地いいサウナ。
こんなに充実しているのにも関わらず「利用時間」が設けられていないのも、「ゆったり過ごしてほしい」という佐伯さんの粋すぎる計らいです。
銭湯は好きだけど、都内の銭湯は混みすぎててあまりゆったりできない。お風呂もサウナも時間を気にせず楽しみたい。お風呂は別々でも家族やパートナーと湯上がりのリラックスタイムを一緒に過ごしたい。
そんな方こそ立川へ!梅の湯なら絶対に満足できる時間を過ごせるはず。ただ、土日はやっぱり混雑しやすいみたいなので、平日を狙ってみるのがおすすめです。
ぜひ「立川湯屋敷 梅の湯」で思いおもいのチルな時間を見つけましょう!
取材・執筆:はせがわみき