経営難に陥った街の銭湯をリニューアル。妥協は一切なし!

同施設の前身となる銭湯は「金沢浴場」。この地で約50年続いていましたが、設備の老朽化や客足の減少にともない、経営困難になっていたそうです。

そんな旧金沢浴場のリニューアルに踏み切ったのは、経営を引き継いだ新保さんご夫妻。
錦糸町のシンボル銭湯「黄金湯」、スカイツリーが見える銭湯「大黒湯」など、新しい時代の銭湯をつくってきたお二人です。

引き継いだ当時はお客さんはくるものの人数が少なく、資金繰りに課題があったそうです。
予想以上に設備の老朽化が進んでいたことも重なり、新保さんご夫妻はリニューアルに向けてクラウドファンディングをはじめます。

最初の目標金額は300万円。「期間内で達成できたらいいな」と思っていたそうですが、なんと開始から75分で目標に到達!
最終的には1,500万円以上の支援が集まりました。

それだけたくさんの人がオープンを楽しみに待つ同施設。
朋子さんは「当初の想定より工期が長くなってしまったのですが、お風呂もサウナも一切妥協していません」と話します。内装はどのようになっているのでしょうか。
話題の銭湯は美しいカーブがあふれる空間でした

浴室に入ると、おとぎ話に出てきそうなシーンのタイル絵が一面に広がります。昔からあったタイル絵はそのままにし、一部剥がれてしまった箇所はAIを使って復元したそうです。

同施設のコンセプトは「物語が始まる銭湯」。
多様な人々が行き交う東新宿では、人種も職種も違う人たちが、それぞれの人生を歩んでいます。そんな人たちが黄金湯にきて、新たな活力を得て明日へ向かっていく…。そんな願いを込めたのだそうです。

洗い場はどこもかしこもピカピカ!一面ブルータイルを基調としていて、やわらかな色味が心を安らげてくれます。

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浴室の奥にはサウナエリアへの入口があります。
サウナエリアの名前は洞窟を意味する”THE CAVE(ザ・ケイヴ)”。どんな空間なのでしょうか。

浴室とは打って変わって、まるで別世界!秘境の洞窟を見つけてしまったかのようです。
みなさん、ここは新宿区であることをお忘れなく。

朋子さんは「サウナを含めてカーブをたくさんつくったので、当初の予定より工期が長引いてしまいました。これまでリニューアルした銭湯と比べると、コスト面もかなりかかっています。
削ろうと思えば削れるところもたくさんあったのですが、建築家の永山さんをはじめとして、素晴らしい方々にご協力いただいたので妥協したくなくて。なるべく理想のままを再現しました」と教えてくれました。

この日の男性側サウナは ”THE ABBYS(アビス)”。英語で深淵という意味だそうですが、名前のとおり奥行きがたっぷり!
段差が3つあるので、16名ほど収容できます。さきほどカーブのお話がありましたが、ここはサ室自体が曲線を描いています。ちょっとした冒険気分を味わえそうです。


ストーブは万全の2機体制。オートロウリュもあるため熱さのキープはばっちりです。
サウナひとつとってもこのクオリティの高さ…。これ、街の銭湯とは思えないですよね!?

女性側サウナは、英語で繭という意味の ”THE COCOON(コクーン)”。
こちらもカーブがふんだんに使われていて、入口がまるい形状です。天井もやさしく弧を描いています。
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この日の温度計は105℃ほどだったのですが、熱すぎる感覚はなく、ゆっくりじっくりチルできました。
窓やストーブまわりの柵など、視界に入るものがまんまるで癒されます◎

心地よく蒸され、シュワシュワという音にひかれて向かった先に、美泡水風呂を発見!
こちらもやわらかなカーブが浴槽を形づくっています。もはやここまで来ると「あれ、美術館にきたんだっけ?」という心境です。

この世界観について朋子さんに尋ねると「私たちが経営する銭湯はそれぞれ違う世界観を持っています。錦糸町に黄金湯と大黒湯の2つをつくったときは『もしかしたらどちらかのお客さんが減ってしまうかも』と心配もあったんです。
ですが、どちらもお客さんが減ることはありませんでした。それぞれのコンセプトがあって世界観も違うから、住む場所や年齢にかかわらずたくさんの方が来てくださっています。ここもそういう場所になったらいいなと思います」と話してくれました。

THE COCOONの奥にも美泡水風呂が鎮座しています。深さは90センチと、肩までたっぷりつかれます。
泡が体に触れるのが心地よく、泡とともに疲れや悩みがシュワ~っと出ていくような気持ちになりました。

惜しみないカーブに包まれた洞窟さながらのサウナゾーンは、まごうことなき非日常の空間でした。
月2回男女の入れ替わりがあるそうなので、ぜひ両方のサウナをコンプリートしていただきたいです。

お風呂は37℃の炭酸泉、日替わりの薬湯、内水風呂の3つ。なんとカラン以外はオール地下水なのだとか!
入ってみると非常にまろやかな肌触りで、皮膚がつつまれているような柔らかさを感じました。

お風呂に入っていると、温かな歌声が聞こえてきました。この日に流れていたのは、ユーミンの「ひこうき雲」。
浴室、サウナ室、フロントの休憩スペースでそれぞれ違う音楽が流れているそうです。流れる曲を聞きながら、場所によって違う気分を味わえます。


錦糸町の黄金湯といえば、忘れてはいけないのが併設されているバー。新宿店にもあるんです!
今回は赤しそシロップを使った特製ドリンク「紅のサウナソーダ」をいただきました。フレッシュなシソの風味が口の中に広がり、サ活後の塩分が抜けた身体に染みわたりました~。

たくさんの人が蒸されるのを心待ちにしている黄金湯 新宿店。
朋子さんは「準備に時間がかかってしまいましたが、私たちも早くオープンしたいと思っていました。ようやく営業を始めることができて、これからたくさんの人に来ていただけるのが楽しみです」と話していました。

東新宿に生まれた新しい時代の街銭湯、黄金湯 新宿店。施設内にふんだんに見られるやわらかなカーブのように、訪れる人たちの心をまるくしてくれる安息の地になりそうです。
取材・執筆:穴山悠理


