一宮に誕生!できたてホヤホヤのオフィスサウナへ

今回訪れたのは愛知県・一宮市。市内にある真清田(ますみだ)神社は、尾張国を訪れた人が最初に参拝する「一の宮」であり、由緒のある神社です。市の名前もそのことから付けられました。
一宮駅は名古屋駅から電車で15分ほどと、アクセスも良いところです。

そんな一宮に、今年4月に誕生した「タマディック一宮オフィス Robo Lab.」 。
この地で繊維業を営んできた、繊維専門商社の旧本店社屋をリノベーションした建物です。
このラボでは、主にロボットテクノロジーの開発や設計製作、検証などをしています。


森實社長にオフィスや応接室、会議室などを案内していただきました。
長い歴史があるビルですが、内装はピカピカでまったく古さを感じません。

社訓は「All for Well Engineer Life(すべては良いエンジニア人生のために)」。
ウェルビーイング(健康な毎日を送る)、ウェルチーム(チームの仲間と支えあう)をつくる要素にサウナも含まれています。

屋上では社員の方がランチをしたり、休憩をしたりとゆったりできる場所になっています。
時にはビアガーデンをすることもあるそうです。ここで飲むビールはきっと格別ですね。


いざサウナへ向かいます。脱衣所はピカピカで高級感あふれる空間。ホテル以上なのでは!?と思うほどの美しさです。
脱衣所を真ん中の扉で仕切って、部屋を二つにわけることもできます。

こちらはサウナに入る時のフィロソフィー。”Stay Clean, Stay Calm, Stay Equal.”
「サウナに入るときは誰かの悪口を言わない」「立場や役職を持ち込まない」といったメッセージが込められているそうです。
オフィスであっても、サウナの中ではみな平等!ですね。

水着を着用し中へ入ります。
てっきりすぐそこにサウナと水風呂があると思いきや、奥まで広々とした空間が広がっています。さながら神聖な宮殿のようです。



サウナエリアは、引き算をしてシンプルを極めた空間にしたそうです。
やわらかな日ざしが入り込んで落ち着きも感じられ、まだサウナ室に入っていないのにととのいそうになりました...。
改装前、サウナがあった場所は倉庫だったため、何年も使われていなかったのだとか。こんなに素敵なサウナとして生まれ変わるなんて...ここに勤めている社員の方々を羨望のまなざしで見てしまいます。

サウナの名前は「LUOVA SAUNA VALOA(ルオヴァ サウナ ヴァロア)」。フィンランド語に直訳すると「光のクリエイティブサウナ」です。


特徴的なのは、サウナ室のドアの下にある10センチほどの隙間。
座面の下にもスリット状の通気口があるので、サウナ室全体にフレッシュな空気が循環します。フィンランドでは、空気が常に入るのは当たり前なのだとか!

セルフロウリュをすると、やさしく蒸気が広がります。サウナ室の温度は80℃ほどですが、息苦しさはまったくありません。
サウナで語りあうために、熱と蒸気のまわりかたを研究し、呼吸しやすい設計にしたそうです。


タマディックでは、オフィスサウナを使った会社説明会も行っているそうです。
「昨年度は応募が殺到して、優秀なエンジニアがたくさん入ってくれたんですよ」と森實社長は話します。できることなら(エンジニアの知見は皆無だけれど)私も入社したいです!


静謐な泉のような水風呂。チラーつきで自動給水機能もついていてスペックも申し分ありません。
温度は16℃ほどとちょうどいい設定です。ざぶんと入ると…

あふれる水が階段の間接照明と重なるさまは、まるでゴールデンフォール!

極めつけはととのいスペースです。木製のととのいイスは、場所によって背もたれの角度が違います。
深くもたれかかれるところ、浅くもたれかかれるところがあるので、ちょうどいい場所がきっと見つかるはず。

驚くべきは、床暖房を設置している点。ととのっている間も、足の裏が温かいんです!足が冷えることなく、おしゃべりしながらゆっくり休憩できます。
休憩中は、エアコンの風が顔にかからないように、配管の位置も調整したそう。なんと細かなところまで考えつくされているのでしょうか。
なぜオフィスにサウナを?蒸されたい社員がぞくぞく

10年以上前にサウナにハマり、日本中を巡るようになった森實社長。「こんなにいい効果が得られるのなら、自分一人が入るだけではもったいない!」と感じ、社員にもサウナのよさを広めたいと考え始めました。
しかし、理想のサウナのイメージがなかなか固まらなかったそう。「作った後に後悔したくない」とフィンランド大使館に直接コンタクトをとり、現地へ。案内人と一緒に何十ものサウナを巡りました。

印象に残ったのは、フィンランドのオフィスビルには、最上階にサウナがあったそうです。「一番いい場所にサウナがあるんですね」と言ったところ、現地の人にこういわれました。
「当たり前だよ!会社にとって一番大事なのは、ステークホルダーや従業員、お客様との関係を深めることだよね。サウナではそれができるんだよ。会社にとって一番大事なものは、一番いい場所に置かないと」
この言葉を聞き「やはりオフィスにサウナは必要だ」と確信を得たと言います。

森實社長はこう話します。
「フィンランドのサウナでは、みんなめちゃくちゃ喋るんですよ。僕も現地の子どもに『どこからきたの?』なんて話しかけられたりして。もちろん、気持ちよくなるためにサウナにきているんだけれど、しゃべりにきている側面も大きいんだなと。
サウナに入れば、何か問題があっても『今日は今日』と考えることができて、明日以降に持ち越しにくくなると感じます。これがフィンランド人の幸福度に貢献していると確信したので、タマディックにもそういうサウナを絶対つくろう!と思いました」

まず導入の計画を立てたのは、名古屋市中区丸の内に2021年に完成だった「タマディック名古屋ビル」。サウナの新設について、最初は「なぜ作るのかわからない」という意見もあったそうです。
しかし、実際につくってみると非常に反響がよく、社員から「他のオフィスにもほしい」と声があがるほどに。
丸の内のほかに今回訪れた一宮と、2026年中に完成予定の「タマディック 豊田オフィス Mobius Park」にもオフィスサウナが導入されます。

勤続42年のベテランの方は「就業終わりに、週2~3回入りにきています。自分はもともとサウナが好きだったのですが、オフィスにサウナができてからは(サウナに)目覚める人が増えたと感じます」と笑顔で話していました。
サウナ導入後、業績は右肩上がりで最高益を更新。さらにタマディック社は、5年連続で健康経営優良法人(中小規模法人部門(ブライト500)」に認定されています。
「サウナをつくれば経営もととのう」といっても過言ではなさそうです!

今ではオフィスサウナのロールモデルとして、タマディック社を視察にきた企業が10社以上サウナを導入しています。
大手デベロッパーや鉄道会社の担当者も視察に訪れており、「会社にサウナをつくる」という文化が浸透しつつあります。
10年前に濡れ頭巾ちゃんと話した「理想のサウナ」が形に

森實社長と濡れ頭巾ちゃんが出会ったのは、今から10年ほど前のサウナイベント。森實社長の元同級生が濡れ頭巾ちゃんの飲み友達ということで知り合い、バーカウンターで意気投合しました。
当時は「サウナは斜陽産業」「オワコン」と言われていた時代。
お二人は「いろいろな意見があるけれど、あれもダメ、これもダメと言われるサウナじゃなくて、みんながハッピーになれるサウナをつくりたいよね」と話していたそうです。

カウンターで語り合った日から、約10年。お二人がイメージしていた理想のサウナが、今こうして形になり、一緒にととのっている...。最高にチルな時間が流れていました。
濡れ頭巾ちゃんは「当時森實さんは『これからサウナをつくりたい』と言っていたのに、こんなに素晴らしい場所をつくられて...。サウナーとして一気に先を越されました。すでに周回遅れです!(笑)」と脱帽している様子でした。

一時はオワコンといわれたサウナですが、そのブームはまだまだ停滞する気配がありません。さらに10年後には、「もうサウナがないオフィスなんて考えられない!」と言われる時代になっているかもしれませんね。
森實社長は「今後オフィスサウナは増えていくと思います。でもオフィスに限らず、図書館や児童館のような場所にもサウナができたら、親子で入れたりしてみんなハッピーになるんじゃないかと思っています」と、未来のサウナのあり方まで話されていました。
新しい文化を着々と広めているタマディック社。オフィスサウナを皮切りに、今後は経営だけでなく、人々の働き方やライフスタイルもととのっていく予感がします。
取材・執筆:穴山悠理


