ひとりの貴婦人から始まった「アフタヌーンティー」の習慣

アフタヌーンティーの歴史は古く、その起源は19世紀のイギリスにまでさかのぼります。かつてのイギリス貴族たちの食生活では、ランチからディナーまでの間にかなり時間が空くのが一般的。昼食は軽めに済ませる慣習もあったため、夕方ごろには空腹になることも少なくありませんでした。
そこで当時の貴族である7代目ベッドフォード公爵夫人のアンナ・マリアが始めたのが、夕方にサンドイッチや焼き菓子を紅茶と一緒に楽しむという「アフタヌーンティー」の習慣です。はじめは公爵夫人がひとりで楽しんでいましたが、徐々に周りの婦人たちにも評判に。やがてアフタヌーンティーは、貴婦人たちの社交の場として広まっていきます。
なお1990年代にはホテル「椿山荘」にあるロビーラウンジ「ル・ジャルダン」が、都内のホテルとしてはじめて本格的なアフタヌーンティーを提供。それ以降、日本でもアフタヌーンティー文化が浸透していきました。
ティーフーズは下段から食べ進めるのがマナー

アフタヌーンティーの定番アイテムとして欠かせないのが、3段式のケーキスタンド。多くの場合、下段からサンドイッチ類、スコーンなどの焼き菓子、デザートの順にティーフーズが配置されているのが特徴です。
ケーキスタンドのティーフーズは、下段から食べるのが正式な楽しみ方。サンドイッチ、スコーンといった指を使って食べられるものはフィンガーフードと呼ばれ、手に取ってそのまま口に運ぶことができます。
スコーンは手で上下に割って、クロテッドクリームやジャムを塗ってから食べるのが一般的。ただし、その際クリームとジャムにスコーンを直接つけるのはNGです。必ず必要な分を自分のプレートに取ってからスコーンへつけるようにしましょう。
なおフィンガーフード以外は、ナイフやフォークを使って食べ進めます。また紅茶を飲む際は、カップのハンドル部分を人差し指、中指、親指の3本でつまむのが正しい作法。中身をかき混ぜるときにカチャカチャと音を立てないよう、ティースプーンは前後に動かすと良いでしょう。
服装にもこだわって素敵なティータイムを

アフタヌーンティーは、貴族社会で生まれた伝統ある文化。食べ方だけでなく服装にも気を配ると、上質な雰囲気をさらに堪能できます。
アフタヌーンティーを提供する場所でドレスコードが定められている場合は、それに準じた服装を選びましょう。特に服装の規定がなければ、Tシャツ、スニーカーなどのカジュアル過ぎる格好は避けるのが無難。代わりにワンピースやジャケットといった、スマートな印象のアイテムを身につけるのがおすすめです。
非日常的な空間でゆったりとお茶を楽しめるアフタヌーンティー。適宜マナーを参考にしつつ、ぜひ充実した時間を堪能してみてください。