▪️ Chill+が提案する「あたらしい旅スタイル」
みなさん最近、旅してますか?

”心地いい空間”が見つかるチル検索サイト『Chill+』では、あえて予定や目的を決めない「チル旅」をおすすめしています。
チル旅とは、行きたい地域や目的地のサウナだけをざっくり決めて、最小限のプランで心からリラックスを楽しむ。そんなあたらしい旅のカタチ。
日々の疲れやストレス、情報の波から離れ、力を抜いた旅にただただ浸りたい方へ贈る、あたらしい旅スタイルです。
▪️ 「チル旅」の世界観を作曲家・とくさしけんごさんが表現

『Chill+』掲載中の施設紹介では、その施設に合わせた曲と映像で、空間の心地よさを表現しています。
「チル旅」でも、独自の世界観を表現できるテーマ曲が必要だと考えました。そこで、楽曲作成をお願いしたのが、作曲家・とくさしけんごさんです。
これまでさまざまな場所・場面でサウナミュージックを手がけ、サウナ体験にさらなる安らぎと癒しを届けてきたとくさしさんに、チル旅の世界観を表現してほしい。そんな想いから作曲をお願いしました。
とくさしさんには「チルを表現しつつ、聞き手の耳に残るような曲に仕上げてほしい」と、贅沢にリクエスト。ショート動画用のわずか1分30秒という短い時間の中で、あっという間にチルに浸れる「city」「water」「woods」の3曲を仕上げていただきました。
市街地を中心とした旅なら「city」、海や川、滝など水を感じられる旅なら「water」、森や自然を感じる旅なら「woods」と、「チル旅」の世界観をこれから彩り続けてほしいと考えています。
▪️「チルは何かの合間に訪れる」楽曲に込めた想いをとくさしさんにインタビュー
「とくさしさんにとって、チルとは?」そんな質問を投げかけると「チルは、何かの合間に訪れるもの。そして緊張や不安があるからこそチルを感じる」と、新しい視点を投げてくれたとくさしさん。
「チル旅」のテーマ曲を手がけられたとくさしさんに、曲ができるまでの道のり、旅で感じるチルなモノ・コトについてインタビューしました。
とくさしけんごさん

2016年から、サウナのための音楽アルバム『MUSIC FOR SAUNA』シリーズをリリースし、ドラマ『サ道』の音楽も担当。 映像、広告、展示、ゲームなどの音楽でも幅広く活躍中。超・朝型生活推奨派。午後は仕事を終えて、サウナに行くのが日課。
サウナの「チル」と旅の「チル」は似ている?

──とくさしさんは、これまで多くのサウナミュージックを手掛けているかと思います。今回のテーマは「チル×旅」。楽曲を作ってほしいと依頼されたときの心境はいかがでしたか?
うれしかったです!「テーマは?チル?旅?バンザーイ!ぜひ!」と、2つ返事でOKさせてもらいました。
サウナミュージックも目指す先には「チル」がありますから、そこに旅をかけ合わせて、いつものように”ゆらぎの時間”を表現させもらえればと。それに、「サウナ」と「旅」ってとても似ている部分があると思うんです。
──「心が安らぐ」「リフレッシュになる」という部分では、たしかに似ている部分がありそうです。具体的にはどんな部分でしょうか?
ズバリ「神経の流れ」です。サウナ→水風呂→外気浴。この一連の流れは、身体の中で「交感神経」と「副交感神経」が行ったり来たりしている状態です。サウナで温まって「交感神経」が活発になり、水風呂でもさらに刺激が加わります。
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そこから外気浴でリラックス。「副交感神経」が優位になり、一気に心地よさがやってきますよね。この瞬間がまさにチル!
旅でも同じ流れを感じます。
子どもの頃はワクワクしていた旅も、年齢を重ねるごとに「チケットちゃんと取れたかな?」「飛行機乗り遅れたらどうしよう?」「(海外なら)言葉はちゃんと通じるかしら?」と緊張や不安を感じる場面があります。
これもまさに、交感神経が働いている状態。でも、その緊張を経たあとに、今までに感じたことのない絶景が待っていたり、ほっぺが落ちるようなおいしいご飯が待っていたり、来てよかった〜と思えるすてきな宿にたどり着いたり。チルを感じる場面がやってくるんですよ!

サウナと旅。こうして比べると、緊張があるからチルを感じる、そんな神経の流れがとても似ているなと感じますね。
──サウナと旅、同じ神経が働いてるなんて、考えたことありませんでした!今回の楽曲は、短い時間の中で「チル」を表現する必要があったかと思います。意識したことはありますか?
「即チル」を感じさせること!
もう聞いた瞬間、いや3秒以内にチル旅の世界観が伝わるよう、聴覚の敏感な部分を刺激しすぎないような、まあるい音を意識しましたね。これまで手がけてきた、サウナミュージックにも通じている部分です。
──即チル!今回の楽曲、特に「water」を聞いたとき、はじめて水風呂に入れた瞬間の心地よさを思い出して……言葉で説明するのは少しむずかしいんですが、とにかく、即チルでした!
それはうれしい!ショート動画用の音楽って「何がいいかって言われるとむずかしいけど、とにかくよかった!」と感じてもらうのが最上だなと思っているんですよ。
YouTube動画やバラエティ番組を思い浮かべていただきたいんですが、動画を最後まで、さびしさを覚えることなく賑やかな気持ちで完走できる要因のひとつに、背景に流れる音楽があるんです。
「言葉ではちゃんと言い表せられないけど、とてもいい時間だった」そうやって、音楽の印象が全く記憶にないぐらいがゴールだと思っています。
3曲に込めた「ゆらぎ」へのこだわり

──今回のテーマ曲「city」「water」「woods」は、それぞれの場面を深く想像させるものに仕上がっているように感じました。どんな旅をイメージして作られたんでしょうか?
「city」は、街中ですよね。現代的な街並みを旅するイメージです。「water」は、水辺の風景。 川辺、海辺だったり、水の気配を感じる旅。「woods」は、植物や山々、自然豊かな森の中をイメージしています。
──「city」は、はじめての街に降り立ったキラキラとわくわく。「woods」はまるで山の中に立っているような、そんなリアルさを感じました。
今回のテーマ曲に限らずですが、「ゆらぎ」を感じさせることはとても意識していますね。
「city」には「歩行のゆらぎ」が隠されています。リズムはあるんだけど、微妙にゆらぐ。「water」は、もうゆらぎそのものですよね。「woods」は、風でなびく木々のゆらぎ。
それぞれ規則的なリズムや周期はあるんだけど、不規則な「ゆらぎ」を入れることで、カチカチっとしすぎない、遊びがあるようなデザインにしています。
「city」は楽器の音以外入っていないんですが、「water」と「woods」に関しては、実際の水の音、木々の音を使用しているので、よりリアルに感じられると思います。
──実際に?どんな場面で撮った音が使われているんですか?
「water」は、これまで撮りためていた海の音や水の音を使っています。「woods」は、友人の庭で木を揺らしていいか聞いて……(笑)実際に木々を揺らして出た音を使っているんですよ。
──とくさしさんが実際に足を使って集めた音だからこそリアルに感じるんですね……。お話を聞いたあとに、3曲を聴き直したくなりました!
ぜひ。それと、3曲には統一感が出るように同じメロディーが使われているんです。
よーく聞くとド・レ・ファ・ミ・ド〜♪と聞こえてくると思うんですが、歌詞は「チ・ル・プ・ラ・ス〜」なので、その点もじっくり聴き直してみてください!(笑)
「チルは合間に訪れる」とくさしさん的チル哲学
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──とくさしさんにとって「チル」ってどんなものですか?
チルは、何かの後、合間に訪れるものっていう確信がありますね。
仕事を頑張ったあとのサウナも、早起きして色々とこなした午前のあと、午後に一息つくのもチルですし、旅先で新しい場所に足を運んだあと、宿でくつろぐのもチルですよね。
こうやって考えると、24時間ゆったりくつろぐだけがチルじゃないし、緊張があるからこそチルを感じるんだなって。緊張や不安はとても大事なスパイスだと思いますよね。
──緊張や不安が大事!チルとは無縁なことだと思っていました。
一方で、すごく集中している時間もチルなんですよ。仕事に没頭しているとき、サウナの熱と蒸気に集中しているとき、映画や音楽の世界に浸っているときも。
ほかのことを何も考えなくて済む時間も、ある種チルだと思うんですよね。こうなってくると「いや、もうそれ24時間チルじゃないか!矛盾じゃないか!」ってなると思うんですけど。(笑)
──わたしは最近「チルとは?」と感じる場面が多くなってきて……。
そういうときこそ、「逆に、チルじゃないときは?」を考えてみるといい気がしますね〜。わたしの場合、確定申告の期間は全然チルじゃないですよ(笑)
──たしかに、先の見えない将来のことを考えるときは全然チルじゃないです(笑)
こうやって考えていくと「あれ、わたしって結構チルな毎日過ごしてるんじゃない?」と、思えますよね。
確定申告も1年に1回ですし。あれ。ってことはつまり、わたしは確定申告の日以外はチルってことになるのかな……?(笑)
──なんだかとってもハッピーな気持ちになりました!とくさしさんが旅先で感じるチルな瞬間はどんなときですか。
やっぱり「合間」ですよね。お仕事の帰りにそのままサウナ旅を……なんて計画することが多いんですが、仕事がひと段落して、さあ移動しようかと、電車を待っているときに、ふと猛烈な幸福感に襲われることがあります。瀬戸内海をぼ〜っと見ていただけなんだけど、立てなくなるくらい幸せを感じたり。
チルってあまり狙って訪れるものじゃないなってことも思います。逆にもっと狙わせてよ〜!って思っちゃうくらいです。チルはふいに訪れる。そんな”合間”を感じるために、旅をするってこともありますよね。

──Chill+が提案する「チル旅」では、あえて行き先だけを決めて、目的や時間を決めないスタイルを推奨しているんです。そういった旅についてはどう思いますか?
旅って決めすぎちゃうと「この日は、絶対この時間までには寝て……」「この日までにはチケットとらないと……」などなど、行く前にスタミナ切れを起こしてしまうことありますよね。
だから「極力なにも決めない旅」はすごくいいと思います!自由度が高くていいですよね。
飛行機や新幹線にのって「大サウナ旅」に出かけることもありますが、とくに好きなのが、帰れる距離のカプセルホテルにあえて泊まる「中サウナ旅」。
宿泊先だけその時、その場でパッと決めて、あとはゆったり。近くのサウナでのんびり過ごしたり、終電を気にせず飲み屋さんで食事を楽しんだりしています。すごくリフレッシュになりますし、半日あればできる気軽さもおすすめですね〜。
──仕事で行き詰まっているときにそんな旅ができたら、すごくチルを感じられそうです。今度試してみます!最後にChill+の読者にメッセージをお願いできますか?

ショート動画用の楽曲を提供させていただきましたが、Chill+は最短距離で日常からの離脱を味わえるメディアだなと思っています。ぜひ、そういう日常からの剥がれの瞬間で、チルを感じてほしいです。
ただ、見るだけだと運動不足にもなるので、ご自身の目と耳、そして五感で感じる旅に出かけてみてください。
──とってもすてきなメッセージ、ありがとうございました!
楽曲への想いから、チル、そして旅について、ユーモアたっぷりに語ってくれたとくさしさん。
とくに、「緊張や不安があるからこそ、チルを感じる」という視点が印象的でした!心地いいチルに出会えると「もうこのまま24時間浸っていたいな……」なんて思ってしまいがちですが、チルを感じられるのは、仕事や育児、家事、勉強など、日々のがんばりがあってこそなんですよね。
とくさしさんのお話で、みなさんの「チル」の解像度が少しでも上がったらうれしいです。みなさんも自分なりのチルを探しに、旅に出かけてみてください。
取材・執筆:はせがわみき