1.大田区初の「健康増進型銭湯」に指定された久が原湯


2011年に大田区初の「健康増進型銭湯」に指定された久が原湯は、「自宅にお風呂があることが当たり前の今、癒しを求めて足を運びたくなる銭湯をつくりたい」という、3代目・山岸さんの想いから大リニューアルを敢行!
高濃度炭酸泉などの浴槽設備や、バリアフリーが充実し、小さなお子さんからご年配の方まで足を運びやすく、そして心身ともにリフレッシュできる銭湯へ進化を遂げました。

暖簾をくぐると券売機があるので、「全部セット」(入浴+タオルセット)とサウナの利用券を購入し、さっそく中へ。


受付で受け取ったカバンのなかには、タオルのほかに、サウナマットも入っていました!浴室には、シャンプー類もそろっているとのことで、手ぶらで問題なく過ごせそうです。

「太陽の湯」と「月の湯」、2つの浴室があるのも、久が原湯の特徴です。
浴室は、半月ごと(第2・4水曜)に男女入れ替わり制。レイアウトやお風呂の種類が異なるため、SNS等で最新情報をチェックしておくことをおすすめします!
2.貴重なタイル絵の富士山が美しい浴室

浴室でまず目に飛び込んでくるのが、美しい富士山のタイル画。

男湯、女湯どちらに入っても「これぞ、銭湯!」な富士山が眺められる設計になっています。すばらしい。
スタッフさんによると、おそらく昭和40年頃(約60年前)に作成されたもので、非常に細かい作業が行われたことが伺える貴重な作品なのだとか。

そんな立派な富士山の下には、バラエティ豊かなお風呂がずらり。
とくに人気なのは38度設定の高濃度人工炭酸泉。炭酸のやさしい刺激に身を任せて、ぼ〜っと富士山を眺めて過ごすのにぴったりなスポット。なんだか、心の汚れも洗われる気がする……!


3.岩塩をつかった「ドライサウナ」、無料の「スチームサウナ」まで?!
ドライサウナ

追加料金で体験できる「ドライサウナ」も、浴室同様に清潔感たっぷりです。
照明が少し落ち着いた室内は、サウナに集中するのにもってこいの空間。明るい浴室とは対照的な雰囲気もいい!

一見、スタンダードなドライサウナかと思いきや、ストーブの前にはピンク色の岩塩が積まれています。
実は、ストーブの熱によって岩塩が温まることで遠赤外線が放出され、身体を芯まで温める効果が期待できるそう!

温度計は90度前後。あつすぎず、ぬるすぎず、ちょうどいい熱が身体に届いて気持ちよく発汗できます。
無料のスチームサウナ

無料のスチームサウナも侮るなかれ!
時折、スチーム機に水がザパーッと噴射(?)するような音も聞こえてきて本格的なスチームであることが伺えます。
定員4名ほどとコンパクトなつくりですが、その分スチームがしっかり室内に充満し、足元までしっかり温まる設計です!
満足度は高いですが「無料」ということもあり、室内は常に満員状態。ぜひとも空いたタイミングを見逃さずに!

しっかり冷えた水風呂との組み合わせもばっちりでした!
4.名物「黒湯」天然温泉で、気軽にプチ湯治気分を

サウナ前後にぜひ楽しみたいのが、名物「黒湯」の天然温泉!
黒湯は、海の底に沈んだ海藻や植物などが、長い年月をかけて溶け出した海洋性の天然温泉。太古の植物の成分が溶け込むことで、コーヒーのような黒褐色のお湯が湧き出しているのだとか。
久が原湯に湧く黒湯の泉質は「ナトリウム-炭酸水素塩冷鉱泉」。美肌効果が高いとされる温泉で、やわらかくなめらかな肌触りが心地よいリラックスをもたらしてくれます。

どんな方でも満足できるようにと「ぬる湯」と「あつ湯」、温度ちがいの2種類の温泉が楽しめるのも、粋なはからいです!


月の湯では、洞窟のような独立空間で、たっぷりと黒湯が楽しめます。
源泉かけ流しが贅沢なつぼ湯から、あつ湯、ぬる湯が並べられており、日常の延長で湯治気分を楽しめるスポットといっても過言ではありません!ぬる湯とあつ湯、交互湯を堪能すれば、芯からぽっかぽかに仕上がること間違いなしです。

5.大田区に銭湯が多いのは「人々に銭湯が求められた街」だったから


美しい富士山絵、天然温泉、2種のサウナに、多彩な湯船。女湯はReFaのシャワーヘッドが利用できるとあって髪も肌もうるうる…。
都内にもかかわらずこんなに良質な天然温泉がリーズナブルに楽しめて、かつ清潔感もピカイチ。心身ともにリフレッシュが味わえて、来てよかったと思える場所でした!

ちなみに、大田区の銭湯は32軒(2026年1月時点)と都内でダントツ。なぜ大田区は銭湯が多いのか、最後にその理由を山岸さんに聞いてきました!

「大田区に銭湯が増えたのは、戦後昭和30〜40年頃からです。その頃の大田区は、大きな工場から小さな町工場まで、働き手が集まる場所でもありました。仕事帰りに汗を流す場所を多くの人が求めていた背景から、自然と銭湯の軒数が増えていったんです。現在に至るまで大田区に銭湯が多く残るのも、他の地域と比べて銭湯の数が圧倒的に多かったというのが大きな理由です」

昭和40年(1965年)の記録によれば、当時の大田区は188軒の銭湯を有しており、大田区についで多い世田谷区の151軒、足立区の142軒と比べても圧倒的に銭湯の数が多いことが記録されています。

大田区に銭湯が多いのは、豊かな「黒湯」が湧き出す土地というだけでなく、経済成長に伴う歴史的な背景も関係しているからなんですよね。銭湯の歴史って深い…!
その街の雰囲気や歴史に触れられるのも銭湯の魅力です。ぜひ久が原湯の「黒湯」に浸かりながら、今日まで続く銭湯文化に思いを馳せてみてください。
取材・執筆:はせがわみき


