ドライサウナ全盛時代に、なぜプライベートのスチームサウナ?

一般的なサウナといえば、木材でできた湿度が低めのドライサウナ。中には大きなストーブがあり、90℃前後の空間で静かにダクダクと汗をかく。そんなイメージではないでしょうか。スチームサウナはあるところのほうが珍しく、あってもおまけ程度。
そんなスチームサウナを全面的にいれているのが「SAUNA汽汽」です。最大3名までの完全プライベートサウナで、水着をきて男女一緒に入ることができます。特徴の異なるサウナが、各フロアに1つずつあります。


さらにユニークなのは、サウナ室内でシャワーを浴びる、水風呂に入る、頭や体を洗うなどかなり自由に過ごせるところ。
サウナ中に冷水を浴びる行為は「クナイプ」と呼ばれるそう。こうした過ごし方ができるのも、スチームサウナならではです。


水風呂は全室チラー入りの15~17℃になっていて、ガツンとクールダウンもできます。
サウナ室の温度は、一般的なスチームサウナよりやや高めに設定されています。「スチームサウナだと熱さが物足りない」と感じる上級者でも、きっと満足できるはず。


CMOの柴田さんにお話を伺ったところ、スチームサウナにした理由のひとつは「ドライサウナ特有の湿度が低い空間では、肌や髪が潤わない」と感じたことだそう。
それ、めちゃくちゃわかります!サウナは大好きだけど、肌と髪がカラカラになる…と悩んでいる人は多いのでは?乾燥を気にせず、潤いを保ってチルできるなんて最高ですね!

「”サウナは座って耐えるもの”というイメージを持たれがちですが、SAUNA汽汽はリフレッシュするだけでなく潤って綺麗になり、さらにワクワクできる”都会のオアシス”を目指しています。サウナというより、ライフスタイル施設としてたくさんの人に来ていただきたいです」と柴田さん。
アロマ水は使わない!上質な香りの秘訣は天然ハーブの”煮出し”

スチームサウナとセットで語られるものといえば、アロマやハーブ。精油をまぜたアロマ水のロウリュや、薬草・ハーブをネットに入れて蒸気口付近に設置する方法が一般的です。
しかし!SAUNA汽汽は一味違っていて、「天然ハーブを”煮出し”した水を使っています」とのこと。に、にだし?聞きなれない言葉が出てきました。
煮出しとは、水からまたは沸騰したお湯に素材を入れ、加熱して風味を抽出する手法。農家から仕入れたサウナ専用のハーブを施設内で煮出し、その水を使って蒸気を出しています。

サウナでハーバルスチームのいい香りを立てるのは非常に難しく、何度も実験を繰り返したそう。煮出したハーブの消費期限はなんと3日!スタッフの方は出勤すると清掃や他の作業より先に、ハーブの煮出しをする日もあるそうです。

サウナプロデューサーのシノさんはこう話してくれました。「都会で暮らす僕らにとって、圧倒的に足りていないのは”深呼吸”だと思うんです。だからこそ、この施設は天然ハーブの蒸気をしっかり体に入れて、深く息をつける場所にしたいと考えました。
だから、本当に質の高いハーブをつめこんでいます!いい香りを出すために、越冬10年の巨大なユーカリなども仕入れています(笑)森に入った瞬間に空気が変わる…都会のど真ん中でも、そんな感覚を味わえると思います」

実際にサウナ室に入ってみたところ、やわらかかつマイルドなのにしっかりといい香りがして、深く息を吸ったあと「はぁぁ」と吐息がもれてしまいました。
200ものブランドから半年かけて厳選したアメニティ”SINN PUERTE”

SAUNA汽汽が力を入れているのは、サウナだけではありません。
「アメニティの選定には悩み苦しみました(笑)。約200のブランドリストのなかから、半年かけて絞り込んでいったんです。サステナブルかつ、知る人ぞ知る本当に良いものを置きたかったので」と柴田さん。

そんなアメニティには、ビューティーケアブランド ”SINN PUERTE”(シンピュルテ)を導入。
同ブランドが掲げる「心をととのえて肌をケアする”マインドフルビューティー”」のコンセプトが、天然ハーブのスチームサウナという汽汽の特徴に合致したと教えてくれました。

SINN PUERTEの商品は、 慶應義塾大学との共同研究で脳波を解析してつくられたもの。香りに癒されるだけでなく、香りをかぐとワクワクした気持ちになれる、そんな商品もあるそうです。
サウナでは蒸気をふんだんにあびて潤い、出た後もマルチオイルや化粧水を使ってセルフケアができる。こんなに肌や髪にやさしいサウナ、他に見たことありません…!
サウナ運営で一番大変なのは「こだわり強すぎ集団をまとめること」

これだけの施設をつくるにあたって、一番大変だったのは”こだわり強すぎ集団”をまとめることだったそうです。「自分たちが最高だと思うもの」をつくることに執着が強すぎて、天然ハーブやアメニティの選定にかかった期間は約半年。さらに、内装や設備はほぼすべて特注品をそろえています。
「フロアごとに香りをすべて変えよう」といった、運営の手間を度外視したアイデアも次々と飛び出したそうです。

「理想のサウナをつくったけど、オタクすぎて一般の人に伝わらないのでは?どうすればこの施設の良さを知ってもらえるだろうか…」と不安を感じていた柴田さん。
サウナフリークとしての自分と、マーケターとしての自分がせめぎあい、目が充血するほど悩みぬいた時期もあったそうです。
究極のサウナをつくった裏側には、サウナーとしての葛藤もあったのですね。
SAUNA汽汽を起点に、中目黒を盛り上げていきたい

柴田さんは中目黒の住民でもあります。サウナが大好きなものの、近隣の人気施設は混みすぎて入れない日もあり、中目黒のサウナ事情に課題を感じていたそうです。
SAUNA汽汽ができてからは、SNSで盛り上がった経緯もあり「中目黒を盛り上げてくれてありがとうございます」と、鉄道会社からメッセージを受け取ったといいます。

「私はサウナに救われてきた人間なので、ここを起点に中目黒を盛り上げていきたいですね。ゆくゆくは、中目黒の地価を上げたいです!」と笑って話されていました。
SAUNA汽汽の由来は、ウキウキ・ワクワクのような「喜々」とした状態と、スチームサウナの蒸「気」のかけあわせ。「蒸気をあびて心身をととのえ、喜々とした日々へ」という想いが込められています。
その言葉通り、SAUNA汽汽はサウナを"耐えるもの"から"ワクワクできるもの"へと変えてくれる場所だと感じました。都会の真ん中で深く息を吸って、ルンルンとした気分で日常へ戻っていく。そんな時間を過ごせること間違いありません。
取材・執筆:穴山悠理


