チルミュージックってなに?

チルミュージックとは語源の通り、聴いていて「落ち着く・リラックスできる」音楽を指します。ゆったりとしたテンポにどことなくノスタルジックなメロディラインが乗り、シンセサイザーやエフェクトを用いた温かみのある音色がなんとも印象的。優しく耳に響いて、聴く人に“心地よさ”を感じさせてくれます。
発祥は諸説ありますが、イギリスの伝説的ハウスユニット「The KLF」が1990年に発表したアルバム「Chill Out」が語源ではないかと言われています。またダンスミュージックの聖地として知られるスペイン・イビサ島のCafe del Mar(カフェ・デル・マール)が始まりの地ではないかという説も。
カフェ・デル・マールがイビサ島にオープンしたのは1980年のこと。1日の終わりに大切な人たちと食事を囲みつつ、地中海に沈む美しい夕日を眺めてゆったり寛ぐ光景がおなじみです。そんな贅沢な時間を最大限に盛り上げるために作られたのが、店名を冠したコンピレーションアルバムのシリーズ「Cafe del Mar」。“夕日に合う音楽”というと、何となく雰囲気がイメージしやすいのではないでしょうか。
アルバムを編集したDJや音楽を聴いた人たちによって、カフェ・デル・マールで流れる楽曲が「チルミュージック」と呼ばれ、徐々に世界中に広まったと言われています。
チルミュージックの源流が生まれ、続々と支流が誕生
1990年代初頭に生まれたチルミュージックは、時代とともに枝分かれを始め、2000年代後半になると「チルウェーブ」というジャンルが誕生。元来のチルミュージックに、リズムに乗って踊れる要素が取り入れられています。
踊れるといっても、ダンスミュージックのような激しいものではありません。ミッドテンポで1980年代のポップスを彷彿とさせるメロディに、内省的で心震わす歌詞を乗せていることが特徴です。
Lo-Fi(ローファイ)と呼ばれるサウンドも支流のひとつで、雑音や環境音を混入させているのがポイント。原音を高度に再現したHi-Fi(ハイファイ)の対義語で、元々はネガティブな意味合いがあります。しかし、あえて音質を落としノイジーなサウンドにすることで、他にはない懐かしさと心地よさを表現。2010年代半ばから徐々に人気が高まってきました。
こんなシーンにおすすめ!チルミュージックの効果も
チルミュージックを聴くおすすめシーンは、やはりリラックスタイム。穏やかなリズムに心地よいサウンドが疲れた心に優しく届き、緊張を解きほぐしてくれます。就寝前に聴けばぐっすり眠れるのではないでしょうか。
意外かもしれませんが、じつは勉強や作業に集中する際のBGMとしてもおすすめ。落ち着いたテンポと抑揚の少ないシンプルな音楽は集中力を高め、作業効率をアップさせてくれます。
近年は音楽のサブスクやYouTubeで公開される楽曲も増えてきて、気軽に聴ける機会が増えたチルミュージック。忙しい日々の中の癒やしとして、ぜひ取り入れてみてくださいね。