チル旅

歴史と自然に包まれるチルいひと時……避暑にもってこいな「川床」の歴史とおすすめスポット

歴史と自然に包まれるチルいひと時……避暑にもってこいな「川床」の歴史とおすすめスポット

暑さが厳しい日本の夏。少しでも涼しい場所で過ごしたいですよね。暖かくなってくると見られる京都の夏の風物詩「川床(納涼床)」は、涼を感じられる癒やしの空間として古くから人々に愛されています。そんな「川床」はただの避暑地ではなく、日本の自然と文化を楽しめる特別な場所。そこで今回は、「川床」の歴史や避暑にぴったりな川床のスポットを紹介します。
Agenda.
  1. 貴船の「川床」の始まり
  2. 自然美あふれる貴船の「川床」
  3. 東京でも楽しめる川床「かわてらす」

貴船の「川床」の始まり

「納涼床(川床)」とは、川のほとりや川面に張り出すようにして設置される床面のことをいいます。納涼床といえば京都の「鴨川」が有名ですが、同じ京都にある「貴船」も鴨川と並ぶほどの人気スポット。高床を設けている鴨川を「納涼床(のうりょうゆか)」、奥の座敷ともいわれる貴船は床の間の発想から「川床(かわどこ)」と、同じ「床(ゆか)」でありながらそれぞれ違った呼び方をされています。

貴船の川床の始まりは、大正時代。貴船神社を擁する同地に流れる貴船川に、利用客が足を伸ばして川につけ涼めるようにと、「床几(しょうぎ)」を出したことがきっかけです。当時は今のように料理を楽しむ形式はなく、涼むための場所として利用されていました。

ところが昭和時代になると、水害の影響で多くの川床が店舗ごと流される事態に。しかし再建を経て、いまも川面に手足を伸ばせる川床の様式は健在。現在は茶屋や旅館などが川床料理を提供し、食事を楽しみながら涼もとれる癒やしのスポットとなっています。

自然美あふれる貴船の「川床」

貴船の川床は街中を流れる鴨川の納涼床とは異なり、緑豊かな自然に囲まれた空間に設置されているのが特徴です。

それゆえ京都市内より気温が10度ほど低く、床に腰をおろした途端に汗がすっと引いて、まさに避暑にぴったり。手を伸ばせば川に届きそうなぐらい水面が近く、その距離は座敷から素足をつけられるほど。都会の喧騒から離れて川のせせらぎを間近に感じながら、清涼感たっぷりの自然をダイレクトに味わうことができます。

貴船の川床を楽しめる期間は、概ね5月から9月末日まで。人気が高く混雑が予想されるので、足を運ぶ際には予約をしておきましょう。また街中との気温差が大きいため、調節しやすい服装がおすすめですよ。

東京でも楽しめる川床「かわてらす」

このように古くから現在に至るまで、夏の暑さを凌ぐ場所として人々を癒やしている川床。今では京都だけでなく日本各地に設置されるようになり、東京都では隅田川を中心に東京版川床となる「かわてらす」を推進しています。

川のほとりには飲食店やホテルが、それぞれの立地を最大限に活かしたテラスを設置。都会にいながら自然を身近に感じられ、リラックスした時間を過ごすことができますよ。

川床は歴史を感じる伝統的なスポットから、都会で自然と調和した空間までさまざまなスタイルがあります。今年の夏は忙しい毎日から一歩離れ、自然が作り出す涼を感じながら最高にチルい時間を過ごしてみてはいかがでしょうか。