笹野さん「薬草サウナ」の魅力を教えてください!
笹野美紀恵さん

サウナトータルプロデューサー。 株式会社ONEBLOW 代表取締役。実家は“サウナの聖地”と称される「サウナしきじ」。全国各地でホテル・旅館・診療所などで五感を感じられるサウナをプロデュース。著書に『キレイをかなえる「しきじの娘」の速効サウナ美容』(主婦の友社刊)ほか、ANA機内雑誌『翼の王国』連載、テレビ出演など多方面で活躍中。
――笹野さん、「薬草」にはどのようなパワーがあるのか教えていただけますか?

薬草のいいところは、身体に負担をかけずに、健康維持・未病ケア(=未病の予防や健康維持)に役立つところですね。加えて、日常生活に取り入れやすいのが魅力です。
身体の不調を感じたとき、薬の服用を検討する方も多いと思いますが、長期間使い続けるには、身体への負担が心配になると思います。
薬草には薬のような即効性はありませんが、食事や入浴などで日常的に取り入れやすい分、身体の長期的なメンテナンスに役立ちます。そして、なにより「身体にやさしい」です。
――薬草って”自然そのもの”ですもんね。そんな薬草をサウナに用いると、身体にどんなことが起きるんですか?
薬草は「経皮吸収」といって、皮膚から薬草の成分を体内に吸収すできることが分かっています。サウナは裸で入る場所ですから、皮膚と薬草が直接触れられますし、無理なく薬草の成分を身体に取り入れられます。
薬草サウナは香りもいいので、思わず深呼吸したくなるのも魅力ですね。ゆっくり香りを感じて呼吸することで、自律神経にもいい効果をもたらしますから、一石二鳥です。
それに、薬草サウナは「出す」だけではなく「入れる」こともできるのがいいですね。

――出すだけでなく入れる、ですか?
通常サウナは、汗を「出す」皮脂や汚れが「落ちる」ことがメインですが、薬草サウナなら、ただ汗を出すだけでなく、身体にいいものを取り入れることができます。
私が研究の場として活用している「みきじ」では『北里研究所病院漢方鍼灸治療センター』と共同で開発した国産の薬草を煮出して「薬草サウナ」に、入浴剤を「薬草風呂」に使用しています。サウナ後のドリンクには、薬草を用いた「巡り茶」などもご用意しています。
ただ、汗を出す場所としてではなく「身体により良いものを入れる場所」を意識しているんです。

――サウナで「入れる」。意識したことありませんでした!薬草サウナって奥が深いですね……。ぜひ、みきじの「薬草サウナ」を体験させてください!
芳醇な薬草の香りがチル!都内某所・秘密基地「みきじ」へ潜入

笹野さんに薬草サウナの魅力をたっぷり聞いてから、秘密基地「みきじ」へ。みきじは、紹介制のプライベートサウナとして運営しつつ、薬草のパワーや温浴の可能性を研究する「Labo」としても活用しているのだとか。

さっそく、こだわりの薬草サウナへ!
扉を開けた瞬間から、薬草の香りが脳裏を直撃!ほど良いスパイシーな香りのどこかに、”しきじ”インスパイアを感じる人も多いはず。

芳醇な香りの秘密は、笹野さんが1年以上かけて開発した薬草の蒸し器。薬草を煮出して使用することで、自然由来の成分をしっかり体内に吸収できるようになっているそう。蒸し器自体もまだまだ研究段階で、今後も改良を検討中なんだとか。
足元やお尻からじわじわと蒸気を感じると、不思議と身体が喜んでいる気がして一気にリラックス!思わず、ふ~っと深呼吸して、どんどん体内に取り込みたくなっちゃいます。この香り、たまらなくチル!


ロウリュ用の桶にも惜しみなく薬草をイン。ロウリュによる上からの蒸気、蒸し器による下からの蒸気に挟まれれば、完全に「全身を薬草で蒸されている」状態へ!
本物の薬草を用いたロウリュは、やはりアロマとは全くの別物。これがみきじの薬草サウナかー!身体が喜んでいるのが分かる!

サウナ室は、あえて80度後半に設定し、薬草サウナを気持ちよく感じられるようになっているのも、こだわりのひとつ。湿度もたっぷりあるので、満足感がありつつも、不思議と長く入っていられます!


薬草サウナから出た後は、水風呂→そして外気浴へ。目の前に広がる景色、都内とは思えない開放感!空を想像以上に広く感じられて、ずっと座っていたくなります。

こだわりの薬草入浴剤が用いられた、薬草風呂の用意も。
薬草サウナに加えて、薬草風呂に浸かることで、身体の深部までぽかぽかに。血の巡りが良くなった気がしました!(この日は熟睡)
薬草サウナは女性におすすめ。「パーソナルな薬草サウナ」をつくりたい

――薬草サウナも薬草風呂も、とっても気持ちよかったです!みきじで使用されている薬草には、どのようなこだわりがありますか?
使用しているのは、血の巡りを良くしてくれる薬草をブレンドした「循(MEGURASU)」と、肌の潤いを保つ薬草がブレンドした「潤(URUWOSU)」の2種類です。

「循」は、トウキ・ミカンの皮・ショウガ・マツブサなど7種の薬草がブレンドされていて、「肩こり緩和」「ストレス解消」「むくみ解消」などの効果が期待できます。

「潤」は、センキュウ・キハダ・ドクダミ・トウガラシなど、8種の薬草がブレンドされていて、「肌への保湿」「冷え解消」「胃腸をととのえる」「解毒」などの効果が期待できるものです。
体内への吸収を早められるよう、薬草は細かく砕いています。体内に入るものなので、すべて国産の薬草を用いているのもこだわりです。完成までに2年くらいかかっているんですよ。
――国産の薬草を使用しているんですね。
日本の水は質が高く、それによって育つ薬草も質が良くなります。土も柔らかいため、薬草の香りも柔らかく感じやすいです。
本当はもっともっと、国産薬草の魅力、薬草サウナのすばらしさを伝えたいんですけどね。品質・コスト面の問題で、薬草を扱う施設が限られているのは残念です。
――みきじは、そんな貴重な薬草サウナに入れる秘密基地でもありますね。

わたしのルーツはやっぱり、実家しきじの「薬草サウナ」なので、自然と薬草を身体が欲する瞬間があります(笑)
サウナや国産薬草に限らず、日本は水・温泉がとても豊かな国ですよね。
このすばらしい温浴文化は、世界にもっと広めていくべきだなと思うんです。例えば、温泉の熱で薬草を温めるサウナとか!日本の豊かな資源と温浴文化を組み合わせれば、世界に誇れるコンテンツを生み出せるなと常々思っているんですよ。
――温泉サウナ!日本らしいサウナですね!そんな笹野さんが今後、新たににチャレンジしたいことはありますか?
将来的には、パーソナルな情報をもとに薬草をチョイスできる「薬草サウナ」を作りたいですね。
身体の悩み、不調は人それぞれ違うので、利用者に合わせて、最適な薬草を処方するシステムができたら理想だなと。処方や調合が必要になるので、病院とタッグを組むことで実現できたらなと思っています。
――すてきです!最後に、薬草サウナはどんな方におすすめか、教えていただけますか?

どんな方にもおすすめですよ!でも、とくに女性におすすめしたいですね。
体調不良、PSMや更年期などなど、女性の身体の悩みって本当に難しいですから。私自身、体調の変化を感じたとき薬草サウナにすごく助けられて。心身ともにオフすることの大切さを痛感しました。
身体の不調を感じる方こそ、月に1回でもいいので、ぜひ薬草サウナに入ってほしいですね。ゆっくり深呼吸して、ご自身の身体を見つめ直すきっかけになったらいいなと思います。
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「しきじ」の薬草がお自身のルーツだと語る笹野さんに、薬草サウナは、汗を「出す」だけでなく身体にいいものを「入れる」が叶う場所であることを教えていただきました。
個人的に印象的だったのは、薬草サウナの香りの豊かさ。薬草の香りに包まれることで、自然と身体がリラックスできるなと。身体にいいものに触れながら、脳も身体もオフ。薬草サウナって、チルそのものじゃないか〜!と新たな発見になりました!
サウナだけでなく、入浴剤やお茶、食材、サプリなど、体内に薬草を取り入れる方法はたくさん。
みきじで使用される「薬草入浴剤」は、今後販売も行う予定があるそうなので、自宅で薬草を取り入れてみたい!という方はぜひ。意識的に薬草を身体に取り入れてみてください。

取材・執筆:はせがわみき