高い殺菌力の酸性湯が効く草津温泉

日本三大薬湯のひとつとしてまずはじめに挙げられるのが、温泉地の代表格とも言える群馬の草津温泉。古くから名湯として親しまれ、自然湧出量は毎分32,300L以上と日本一を誇ります。
草津温泉の泉質は、強い酸性なのが特徴。源泉に5寸釘をつけておくと10日ほどで溶けてなくなってしまうほどの強さゆえ、草津の湯ではほとんどの細菌や雑菌が繁殖できず消えてしまうこともわかっています。
そのため草津温泉の湯は、細菌が原因になる炎症または病気に有効。アトピー性皮膚炎、尋常性乾癬、慢性湿疹、切り傷といったさまざまな症状に効くとされています。
なお草津温泉の名物として有名な「湯もみ」は、泉質や効能を保つための工夫として江戸時代から続く伝統文化。もともと草津の源泉温度は50~90℃とかなり高いため、人が快適に入浴できる程度まで温度を下げる必要があります。そのため湯もみによって源泉の成分を薄めることなく適切な温度帯にし、肌へのあたりも柔らかくしているそう。
「恋の病以外なら何でも治す」とされる草津温泉の強い効能は、先人からの知恵によって守られてきたと言えるでしょう。
世界的にもめずらしい豊富な成分が魅力の有馬温泉

草津温泉と並んで日本三名泉のひとつとして挙げられる兵庫県・有馬温泉も、日本三大薬湯と称される温泉地です。
有馬温泉は、日本最古の温泉として長い歴史がある場所。環境省が“療養泉”として指定している9つの主成分のうち、7つもの成分を含む世界的にもめずらしい混合温泉として知られています。
有馬の湯の特徴は、成分の濃さ。特に有馬温泉特有の鉄分と塩分を含んだ「金泉」は、海水のおよそ2倍という高濃度の“強食塩泉”です。金泉の湯に浸かると塩が肌表面に薄い皮膜を形成し、保湿効果をキープ。加えてメタ珪酸という肌触りをマイルドにする成分が多く含まれていることで、保温効果をさらに高めてくれます。
金泉には殺菌作用もあるので、感染性の皮膚疾患や慢性湿疹に効果的。また、豊富なカルシウムイオンがアレルギー性皮膚疾患、じんましん、傷、やけどなどにも効果を発揮します。
ちなみに炭酸を含んだ「銀泉」と呼ばれる湯には、飲用することで胃液の分泌を促し食欲を促進させる効果も。体の外側だけでなく内側からも効果を発揮するのが、有馬の湯の魅力だと言えるでしょう。
美肌効果もある松之山温泉

日本三名泉の最後のひとつは、新潟県にある松之山温泉。今から700年ほど前に発見されたというこの温泉にはメタホウ酸が基準値の50倍以上含まれ、殺菌効果や切り傷などの皮膚ダメージを治癒する効果があるとされています。
また松之山温泉には1000万年以上前に地中に閉じ込められた海の水「化石海水」が湧き出ていると言われていて、温泉の注ぎ口に塩の結晶がつくことも。戦後の一時期には、温泉を利用して塩を採っていたほどの塩分濃度です。
なお松之山温泉の湯には、天然の保湿成分と呼ばれるメタケイ酸も豊富に含まれているのが特徴。濃い塩分との相乗効果により、美肌効果も期待できます。健康維持のためだけでなく美容効果も求めたい人には、松之山温泉が特におすすめな温泉地だと言えるでしょう。
それぞれ異なる魅力を持った、日本三大薬湯。ぜひ足を運んで、ゆったりした時間を過ごしてみてはいかがでしょうか。