心までゆるゆるに…タイトルから癒やされる「ほどけるとける」

まずご紹介するのは、タイトルからもチルな雰囲気漂う「ほどけるとける」。NHKドラマ「ビターシュガー」の原作者であり、「渦 妹背山婦女庭訓 魂結び」で直木賞を受賞した大島真寿美さんが描く一冊です。
物語の主人公は、高校を突然中退した女子高生・美和。進路に迷う彼女が、祖父の経営する銭湯「大和湯」でアルバイトをしながら、少しずつ自分自身を見つめ直していくストーリーです。彼女の姿に、思わず自分の青春時代を重ねてしまう読者も多いのではないでしょうか。
小さな銭湯を舞台に繰り広げられる常連客とのやりとりは、どこか懐かしく、人の温もりが伝わってくるよう。「タイトル通り、心がゆるゆるになって優しい気持ちになる」「温かい作品で、すごく染みる」といった声も多く寄せられています。
旅情あふれる温泉恋愛短編集「初恋温泉」

次にご紹介するのは、山本周五郎賞や芥川賞を受賞した吉田修一さんの恋愛短編集「初恋温泉」。京都の「祇園畑中」、那須の「二期倶楽部」など、実在の旅館が登場するため、物語を通じて温泉旅館を訪れているかのような気分が味わえます。
短編集なので、旅先に持って行き、温泉地で少しずつ読み進めるのにもぴったり。作品には、温泉旅行の前日に妻から突然離婚を切り出される夫、不倫を重ねる元同級生、親に内緒で旅に出る高校生カップルなど、さまざまな男女のストーリーが描かれています。
読者からも「切ないだけじゃなく、微笑ましい話もあってバランスよく楽しめる」と評判の一冊。温泉地の情景を思い浮かべながら、登場人物たちの恋模様に思いを馳せる…そんな余韻にゆったりと浸るのもいいですね。
江戸時代から現代までの名作がそろうお風呂アンソロジー「小説乃湯」

最後にご紹介するのは、日本を代表する推理作家・有栖川有栖さんが編集を手がけた「小説乃湯」です。江戸時代後期の戯作者・式亭三馬(しきていさんば)から、太宰治や谷崎潤一郎などの文豪、さらには筒井康隆や原田マハ(敬称略)といった現代作家まで…。時代を彩る作家たちによる、お風呂をテーマにした短編を収録しています。
有栖川さん曰く「面白い小説に没入していると、いい湯加減のお風呂に入っているような心地」になるそう。本書については「ストレスや疲労の回復の効能があり、心に滋養豊か」とユーモラスに語っています。
滑稽話や純文学、SFなどジャンルを超えた多彩な作品が楽しめるのも本書の魅力。古今東西、お風呂の物語にどっぶり浸かる“小説浴”を楽しんでみてはいかがでしょうか。
温かいお湯が体をほぐすように、お風呂小説も心をやさしく包んでくれます。お風呂の余韻を味わいながら、物語とともにリラックスするチルな時間を楽しんでみてくださいね。