まるで走るホテル!寝台列車ブームを起こした「ブルートレイン」

日本の寝台列車の歴史は明治時代に始まります。当時は上流階級の人々のための、豪華絢爛な一等車両のみでした。一般庶民に急速に普及したのは、戦後の高度経済成長期の時代。観光やビジネスの長距離移動の手段として受け入れられました。
寝ている間に移動して翌朝には現地に到着する時間配分が、効率的な時間の使い方を求める当時の人々のニーズにマッチしたのでしょう。一流ホテルさながらのサービスや豪華な食堂車も乗客の心をつかみ、青系に塗装されていた列車の車体から「ブルートレイン」の愛称で親しまれました。
時代とともに高速バスや新幹線、飛行機が身近な長距離手段として取って代わり、衰退の一途をたどった寝台列車。しかし近年、寝台列車が再び人気を集めています。
鉄道旅の新しいカタチ!ホッと安らぐ癒やし旅の秘密

「サンライズ瀬戸・出雲」は、1日1便、夜10時頃東京駅を発ち、9時間以上をかけて目的地へと向かいます。列車の内装は住宅メーカーが手掛けており、丸みを帯びた室内装飾は木の温もりとやわらかな間接照明とマッチ。居心地の良い空間を作り出しています。
客室は鍵付きの個室がメインなのでセキュリティも万全。部屋の広さや設備で代金は異なり、まるで一流ホテルのような客室からリーズナブルな「ノビノビ座席」まで、予算に応じて選ぶことができます。「ノビノビ座席」は座席といえど一畳ほどの広さがあり、足を伸ばしてゆったり休めるので安心ですね。券売機でシャワー券を購入すれば車内でシャワーも使用できるため、仕事終わりにそのまま旅行へ発つことも可能でしょう。
「サンライズ」は「ブルートレイン」のような食堂車がないので、乗車前に食事を済ませるか、食べ物や飲み物を買っておく必要があります。鉄道旅には外せない駅弁やビールにおつまみがあれば、きっと大満足な一夜になるに違いありません。
車窓は動く絵画のよう……絶景を独り占めする贅沢

客室に身体を落ち着けてみると、車窓に映るのは街の人の営みを照らす明かりや真っ暗な海に浮かぶかがり火、遠い山の稜線を切り取るような満点の星空たち。ゆっくり流れる風景を肴に車内のラウンジでお酒を楽しむのもよし、リズミカルな列車の揺れを背に感じつつ、大きな窓から夜空を眺めながら眠りにつくのも贅沢な時間でしょう。
やがて空が白む頃、岡山で「サンライズ」は高松行きと出雲行きに分かれてそれぞれの行程へ。高松行きの「瀬戸」では、朝焼けの輝く瀬戸内海の多島美に心奪われます。到着後は讃岐うどん店巡りや金毘羅参り、直島をはじめ瀬戸内アートを楽しむのがもはや定番。
「出雲」は穏やかな山間部から日本海、宍道湖と様々な景色を楽しめるのが持ち味です。列車を降りた後は、縁結び祈願で有名な出雲大社や美肌効果抜群と評判の玉造温泉などをめぐることができ、女性人気が高いのも頷けますね。
睡眠時間中に移動し、現地で過ごす時間をたっぷり設けられるのが魅力の寝台列車の旅。列車に一歩踏み入れると、忙しい毎日からかけ離れたゆったりした時間が流れています。単なる移動手段としてだけではない、新しい鉄道旅に興味のある方はぜひチェックしてみてくださいね。