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「ただいま」が言いたくなる。実家気分に浸れる銭湯・北区「テルメ末広」へ

「ただいま」が言いたくなる。実家気分に浸れる銭湯・北区「テルメ末広」へ

どんな銭湯も、きらりと光る店主さんの個性がどこかに表れるもの。北区赤羽にある『テルメ末広』もそのひとつ。京町屋風の外観と内装、ハーブやフルーツなど自然由来をそのまま生かした「季節の自然薬湯」が名物の銭湯です。今日はそんなテルメ末広にチルを補充しに行ってきます。
Agenda.
  1. 1.「ここは銭湯?」京町屋の外観がおしゃれ
  2. 2.白を基調としたシンプルで、居心地のいい浴室
  3. 3.ゆるやかに温まる。魅惑的な半円型ボナサウナ
  4. 4.湯上がりは実家気分に浸れるロビーでまったり
  5. 【テルメ末広の帰りに】近隣のおすすめ飲食店

1.「ここは銭湯?」京町屋の外観がおしゃれ

一瞬「お蕎麦屋さんかな?」と思ってしまうほど、おしゃれな外観が目をひくテルメ末広。1952 年(昭和27年)に創業し、1993年(平成5年)には大幅リニューアル。外観は、街に溶け込む京町屋風のデザインに生まれ変わりました。

趣ある木製の扉にも注目!設計士さんに作ってもらった特注品。細部にこだわりを感じます

美しい花壇の花に癒されながら、「ゆ」の暖簾をくぐり店内へ。

中に入ると、手前に受付、奥にはゆったりとくつろげるロビーがあります。

受付でお風呂とサウナの利用を伝えると、サウナマット2枚、バスタオル、ハンドタオルまで貸してもらえます。入浴料金は550円、サウナ料金は300円。この金額でタオルまで付いてくるなんて、「本当に、いいんですか……?」と聞きたくなるレベル。

脱衣所に障子!ここにも京町家が感じられます

一気に天井が高くなる脱衣所は、風情が感じられつつもピッカピカ。木製のロッカーやベンチも特注品で、趣を感じます。

2.白を基調としたシンプルで、居心地のいい浴室

取材は5月上旬でした
魚を狙う両端のねこちゃんに癒されるタイル絵

白を基調とした浴室。高い天井は開放感たっぷりで、この景色を眺めているだけで心が洗われる気がします。

男湯

備え付けのアメニティで身体を洗ったら、大きな湯船のジェットへ。「泡風呂?」と勘違いしてしまうほど、細かいジェットがクセになる。石鹸のようなほんのりやさしい香りが鼻を刺激して、ついつい長居してしまいます。

手前が高温湯

テルメ末広の名物「自然薬湯」(毎月3回実施)は、ジェット湯・高温湯全体で実施。季節を感じられるハーブやフルーツをそのまま用いた薬湯はとっても評判で、これを目当てに訪れるお客さんも多いそうです。

お次は、身体の芯までぽっかぽかになる「実宝湯(じっぽうとう)」へ。「夜はよく眠れる」とこちらも大好評の薬湯です。漢方特有の香りがしますが、強すぎず絶妙。湯船も深めに作られていて、重力からの解放感を味わえます。あ〜至福。

内風呂だけでなく、露天風呂があるのもおすすめポイント。「銭湯だしきっとコンパクトなんでしょ?」と侮るなかれ。女湯は、大人4人がゆったり入れる広々としたつくりです。上を見上げれば空、耳をすませば心地いい流水音。チルを体現してくれるスポットでした。

3.ゆるやかに温まる。魅惑的な半円型ボナサウナ

女湯サウナ

湯船を堪能したあとは、サウナ室へ。

下から上へ蒸気が循環

テルメ末広は、ボナサウナを採用。座面の中には蒸気の通り道となる配管が設置されており、下から上へと自然と空気が循環。蒸気だけで室内全体が温まる仕組みになっています。

どこまでも"自然派"なのがテルメ末広。「ジリッとしたサウナの熱が苦手」という方に特におすすめしたいサウナです。ゆるやかに温まれる、居心地ばつぐんのボナサウナでした。BGMでラジオが流れているのも魅惑的。個人的には、テレビよりもラジオの方がサウナに合っている気がします。

夏場=20度前後/冬場=16度前後

水風呂にはあえてチラーを使わず、井戸水をそのまま。キーンという刺激的な冷たさでなく、ふわっとやさしく包まれるようなクールダウンがたまりません。この水風呂の気持ちよさがクセになって、湯船と水風呂の交互浴の魅力にはまった常連さんもいるほど。うんうん、その気持ちわかる……!

女湯

休憩は露天風呂横のミニベンチで。ふわっと通り抜ける風が心地よくてたまりませんでした。もちろん、開放感たっぷりのカラン浴もおすすめ。みんなで気持ちよく過ごせるよう、ベンチもカランも譲り合って使いたいところです。

4.湯上がりは実家気分に浸れるロビーでまったり

「自分が楽しいなと思ったこと・ものをみなさんに共有したいんですよね」そう楽しそうに語ってくれたのは、テルメ末広の店主・徳江さん。印象的な京町屋風の外観・内装、自然薬湯を導入したのも徳江さんのアイデアです。

独自で自然薬湯をはじめたのは、自然そのままのハーブやフルーツを用いた方が肌にもいいし、自分自身も「気持ちいいな」と感じたことがきっかけだったそう。昔はたまねぎの皮、大根の葉っぱを用いたユニークな薬湯なども実施していたそうで、入浴した方々からは「おもしろいね!」と喜びの声が多かったそうです。

一度座るとなかなか起き上がれなくなる、ふかふかソファ

そんな徳江さんがこの銭湯で「いちばんのお気に入り」と話してくれたのがロビー。フッカフカのソファに、テレビ、マンガや雑誌、徳江さんチョイスの駄菓子に、豊富なドリンク!欲しいもの全部がそろっているこの感じ、あれ、なにかに似ている……そうか、まるで実家に帰ってきたような気分になれるんだなと。

マンガや書籍が置いてある本棚/ドリンクコーナー

太陽の光がやさしく差し込み明るい空間、大きい窓から通り抜ける心地いい風。店主徳江さんが作り出すやわらかい空気。このロビーに居ると「力を抜いてもいいんだよ〜」と言ってもらえる気がして、ついつい長居してしまいます。

正直、ずっと座っていたくなるくらい居心地がいいので、みなさんも居眠りには注意です!(笑)

「しばらく帰れてなくて実家が恋しい」そんな"実家ロス"の方はぜひテルメ末広へ。つい「ただいま」と言いたくなるやさしい空気がここにはあります。

取材・執筆:はせがわみき

施設情報

【テルメ末広の帰りに】近隣のおすすめ飲食店

山久

オムライスでも中華スープ付き。福神漬けのトッピングも愛らしい

地元に愛される町中華。テルメ末広からわずか30メートル。おすすめのオムライス、うすめの卵に油分たっぷりのチキンライスが幸せでした。ケチャップ濃すぎないのがGOOD。

開平軒

ラーメン&半チャーハンセット

地元から愛される町中華。テルメ末広から徒歩4分。豊富なメニューが揃っており、昼も夜も行きたくなります!

らーめん 童童(とんとん)

ラーメンの口なら『らーめん 童童(とんとん)』もおすすめ。テルメ末広から徒歩3分。濃厚だけど重すぎない、そんな一杯がすすれます。